「とりあえずハローワーク」は正解か?知っておきたい20代の転職

20代の転職

20代で転職をお考えの方へ。
転職と言えば「まずはハローワーク」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実際のところ、ハローワークでの転職って20代の転職に必要なのでしょうか?
今回はハローワークについてじっくり考えてみましょう!

  1. ハローワークの特徴
  2. ハローワークのメリット・デメリット
  3. ハローワーク以外の仕事の探し方って?

ハローワークとは&利用方法

ハローワークとは

ハローワーク(正式には「公共職業安定所」)とは、厚生労働省のもとに設営された職業紹介所です。国によって運営される点で民間の職業紹介事業者とは区別されます。
人材を募集している企業に対して、仕事を探している求職者を紹介することが主な業務であり、就職困難者を支援するセーフティネットとしての役割も担っています。民間が運営する一般的な「転職サイト」「転職エージェント」などのサービスと同じく、求職者の利用は無料です。ハローワークの場合、求職者だけでなく人材を募集する企業側の利用も無料という特徴があります。

提供されるサービス

ハローワークの基本的な業務は、求職者と企業の雇用関係が成立するための斡旋を行うことにあります。雇用関係を成立させるためには、具体的に以下のような業務を行います。
・求人の紹介
・相談窓口における相談
・自己分析サポート
・職業訓練に関する相談
・履歴書の書き方サポート
・面接対策
・紹介状の発行

など、求人情報を紹介するだけではなく転職に関わる相談などのサービスも提供しています。
またハローワークで取り扱っている求人案件は、インターネットからも検索・閲覧が可能です。ちなみにハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報は一般に解放されており、民間が運営する転職サイト等に転載されているケースもあります。
 
その他、職業紹介以外には「雇用保険制度の窓口」としても機能します。具体的には、以下のような手続きをハローワークで行うことができます。
・雇用保険の資格の変更等に関する手続き
・失業等給付の受給手続き
・事業主を対象とした各種助成金の支給に関する手続き

その他にも
・人材銀行
・マザーズハローワーク
・パートバンク
・学生職業センター
・学生等職業相談窓口

など、求人企業や求職者それぞれのタイプに合わせた多様な施設を設置しています。

利用方法

ハローワークを利用する手順について説明します。

【持参するもの】
・履歴書
・職務経歴書(転職の方のみ)
【利用の流れ】
①ハローワークカードの記入、登録
②求人情報の検索
③求人についての相談
④面接の取次・紹介状の手配

ハローワークでは、最初に必要事項をハローワークカードに記入し、自分の情報を登録します。記入する項目は以下の通りです。

【基本情報】
・氏名
・性別
・年齢
・生年月日
・電話番号、FAX番号、携帯番号
・現住所、最寄駅
・転居の可否
・家族構成(配偶者の有無、扶養家族の人数)
・就業上留意が必要な家族の有無(介護や育児など)
・仕事をする上で身体上注意する点
【基本的な労働条件】
・希望就業形態
・希望する仕事
・就職希望地
・希望収入(月収)
・希望勤務時間
・希望休日(何曜日の休日を希望するか)
・週休二日制の希望(毎週、各週、不問)
・その他の希望
【求職者の経歴や資格】
・学歴(最終学歴)
・公共職業訓練の受講歴
・免許・資格
・自動車免許取得の有無(MT or AT限定)
・最後の職業(事業所名、主な仕事、退職の理由、働いていた期間、退職時の税込月収)
・経験した主な仕事(直近から3つ)

登録が済んだら、求人情報検索端末で自分に適した仕事を探すことができます。
多くの求人を抽出するためにも最初は条件を絞り込み過ぎずに、自分の中で挙げた条件に優先順位をつけ順位の高いものだけで検索してみましょう。
 
ハローワークカードには、自分の情報を企業に公開するか選べる項目があります。「公開」を選択しておくと、登録情報について企業側が閲覧できるようになり、条件が合う場合にはスカウトされることもあります。

気になる求人が見つかったら窓口担当者に相談します。
その際、現在も求人募集中なのか、応募者はどのくらいなのか、企業の評判はどうなのかなど、詳細を聞いてみると良いでしょう。企業の面接を受けたいと思った場合は窓口担当者に面接の取り次ぎや紹介状の手配を依頼します。

ハローワークの利用時間は事業所によっても異なりますが、
平日は8時30分~17時15分まで、土曜日は10時から17時までが一般的。
スムーズに求職活動を進めたい場合は、月初めや週初めの月曜日、午後の時間帯などの混雑時を避けて利用すると良いかもしれません。

ハローワークを利用するメリット・デメリット

ハローワークを利用する際のメリット・デメリットを知っておきましょう。

メリット

求人件数が多い

ハローワークでもインターネットサービスの求人情報検索ページには、約100万件にも上る求人情報が常時掲載されています。

取り扱い職種が多い

ハローワークでは多岐にわたる職種の求人を取り扱っています。各求人案件は厚生労働省編職業分類に基づき、細かく職種の分類をしています。
その中でも製造業では「工場内作業(機会オペレーター・加工技術者)」など、より詳細に職種を規定して表示しています。
雇用形態についても
・正社員
・契約社員
・アルバイト
・パート
・派遣
・請負

などと区分されているので、例えば正社員に条件を絞って求人を検索することも可能です。

地方の求人にも強い

ハローワークは国が運営する機関のため日本全国に存在します。
税務署、警察署、消防署などの官公庁が設置されている地域であれば、おおむねハローワークも設営されているでしょう。民間の人材紹介会社がカバーしきれない地方の求人も取り扱っています。
またインターネットサービスでは日本全国の求人案件を閲覧できるため、都会で働いている方がUターンを考えて地元の求人案件を探すといった活用方法も可能です。

職業訓練と併せて活用できる

ハローワークでは募集求人の検索閲覧のみの利用ではなく、職業訓練を受けることもできます。厚生労働省は職業訓練と就職支援をセットで進める方針を打ち出しているため、職業訓練課程を終えれば一段と親身に就職支援を行ってもらえることを期待できます。

採用する側の目線が厳しくない

ハローワークは企業側にとっても求人募集をかける際の採用コストをゼロに抑えることができます。そのため「採用コストもかからないのであれば、一度試しに働いてもらおう」と考える人事担当者や経営者も多いようです。
一般的にハローワークを通した求人は、公募などに比べて採用基準が低くなりがちです。

デメリット

求人企業の審査が甘い

ハローワークは、厚生労働省の出先機関です。
行政の一環として就職支援を行う立場にあるため、求職者のみならず求人企業も平等に扱うことが求められます。
求人企業から手数料を徴収することもないため、反社会性や重大な労働法令違反などの問題がない限り求人票の取り扱いを拒むことは難しくなります。

古い求人案件がそのまま放置されている

求人活動を終えた企業の求人案件がいつまでも(長い時は数カ月間)放置されていることもあります。
例えばマナーの悪い会社が求人を中止したり他のルートで採用したりしても、その会社からの採用連絡がない限り掲載されたままの状態になることがあります。
ハローワークは求人の有効期限を原則として受理日の翌々月末までとしているため、最長で3ヶ月(例:4月1日受理、6月30日失効)求人状態が維持されます。
また同じ案件を3か月ごとに更新(手続き上は再登録)することもできるため、漫然と求人票を出し続ける例もあるようです。

職員の能力・態度のバラツキが大きい

ハローワークは行政機関のため、職員が成果を上げなくても潰れることがありません。その一方で、国の財政悪化の影響による歯止めとして経費削減が求められています。
その結果、職員の能力や勤務態度に大きなバラツキがあることは事実です。
正規職員で労働行政の専門家として一生懸命働く職員がいる一方、有期雇用の非正規職員にはやる気が感じられない職員がいる場合があるようです。

実はこんな企業が多い?ハローワークの求人の特徴

間口の広い求人案件が多い

ハローワークは国が運営する機関であるため、ターゲットは国民すべてとなります。そのためとても間口の広い求人募集が多いでしょう。
未経験募集の案件も充実しているので、キャリアチェンジを目指す方や、すぐにでも仕事に就きたいと考える方にはとってはもってこいかもしれません。

給料の安い求人案件が多い

企業は高い人件費を払ってでも、優秀な人材の採用にはコストを惜しみません。
一方で採用にあまりお金をかけられない企業の場合は、「有料求職サイト」や「有料職業紹介会社」などに掲載できないため、無料で利用することのできるハローワークに求人票を出します。
また、募集企業側が誰でもできると判断した職種の場合、できるだけお金をかけずに採用したいと考えます。
このようなことから無料で利用できるハローワークには、どうしても給料の安い案件が多くなる傾向がみられます。

ホワイトカラーの仕事が少ない

「大手企業」や「ホワイト企業」は優秀な人材を採用するためにはお金をかけることもいとわないので「有料求職サイト」や「有料職業紹介会社」を使用して求人募集をかけることが多いです。そのため必然的にハローワークにホワイトカラーの求人は集まりにくいと言えます。

ハイクラス向けの求人は少ない

前述したようにハローワークに掲載されている求人案件の多くはは求人広告にお金をかけない、かけられない企業のものが多いので、キャリアアップを目指したり、高所得を目指せるハイクラスな求人はかなり少ないでしょう。
ハイクラスの転職を考えている方は後述します「転職サイト」か「転職エージェント」を利用してみると良いかもしれません。

ハローワーク以外での転職方法って?

転職サイト

「転職サイト」では求人情報のチェックから応募、面接の手続きまで、転職活動を自分自身で進めていくことを前提にした転職サービスです。
転職サイトを利用する際のメリットは、何と言っても「求人情報の豊富さ」でしょう。大手転職サイトでは常時全国約1万前後の求人情報が掲載されています。
また「会員ページ」を用意しており、登録した利用者におすすめの求人情報が紹介されたり、企業からのスカウトメールが届くなどのサービスを行っているサイトもあります。
会員ページでは自身の転職活動の記録も出来たりと、アナログでの活動と比べてかなり効率的に転職を進めることできるでしょう。

メリット

すぐに転職活動を始められる

転職サイトはインターネットに接続できればすぐに転職活動を始められます。いつでもどこでも転職活動を始められるのが魅力です。

自分のペースで転職活動ができる

自分のページで転職活動ができます。希望条件に合った求人が出たときに応募するという使い方もできます。

求人数が豊富

転職サイトには求人数が豊富なので、希望条件で絞り込んでも求人を探しやすいです。

スカウト機能がある

転職サイトの多くにはスカウト機能があります。スカウト機能に登録すればあなたのキャリアに興味を持った企業や転職エージェントからスカウトが来ます。

希望条件で求人検索できる

転職サイトでは「年間休日120日以上」「残業なし」など細かい希望条件で求人検索ができます。転職に求める条件に合った求人を探しやすいのも魅力です。

同じ求人があると転職エージェントより採用されやすいケースあり

転職サイトと転職エージェントを併用していると同じ企業の求人を紹介されることがあります。同じ企業の求人がある場合は、転職エージェントよりも転職サイト経由のほうが採用されやすくなるケースもあります。

デメリット

全て自分自身で対応しなければいけない

転職サイトへの登録、企業への応募、面接日程の調整など全て自分で対応することが必要です。

履歴書・職務経歴書作成が大変

転職サイトは応募企業ごとに履歴書・職務経歴書を作成しなければいけません。多くの企業に応募すると書類作成が大変です。

年収アップが難しい

転職サイトを利用すると自分で年収交渉をしなければいけません。交渉が苦手な人は現状維持どころか年収ダウンしてしまうケースも多いです。

合格率が低い

転職サイトは誰でも利用できるため応募数が多いです。人気企業や大手企業になると1つの求人に1,000人以上応募が来ることもあります。合格率が低く書類選考すら通過しない場合もあり得ます。

転職後のミスマッチが多い

転職サイトの募集要項には耳障りのいいことばかりが書かれているので、いざ入社して「こんな会社だったのか…」とミスマッチに悩むこともあります。ミスマッチを防ぐためには、募集要項の情報だけでなく企業の内情や評判もしっかりと調べることが必要です。

ブラック企業の求人がある

転職サイトからするとブラック企業は広告費を出してくれるお得意様です。転職サイトのビジネスモデルから考えても、ブラック企業の求人があるのは仕方がないことです。ブラック企業にひっかからないように注意しましょう。

転職エージェント

「転職エージェント」を利用すると求職者に対して専任のキャリアコンサルタント・キャリアアドバイザーが付きます。キャリアコンサルタント・キャリアアドバイザーは求職者に向けたおすすめ求人情報の紹介から、応募書類作成のフォロー・チェック、面接対策のサポートまで幅広く転職活動のアドバイス、フォローをしてくれます。
転職エージェントを利用するメリットは、「転職に対するアドバイスやフォローを直接受けられる」ことでしょう。転職活動中は周りに相談し辛いため、どうしても孤独になりやすいものです。そんなときに親身に手助けしてくれるパートナーがいてくれれば、とても心強いことでしょう。
さらに転職エージェントでは、担当するキャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーが求人企業の採用担当との独自のパイプを持っているこため、面接後の後押しや年収交渉なども有利に進めてもらえることもあります。

メリット

非公開の求人に応募が可能

転職エージェントは少数の人を精選して採用したい場合に使われる「非公開求人」を多く取り扱っています。実務経験や専門知識によっては、大手企業の提案も多数存在します。
転職エージェントの求人は約80%が一般には公開されていない求人です。転職サイトやハローワーク、フリーペーパーなどでは全体の20%しか手に入れることができません
転職は情報収集で成功するか否かが決まると言っても過言ではありません。どれだけ自分の条件に合った求人情報を手に入れられるか重要になります。そのため80%の非公開求人情報を保有する転職エージェントの存在は大きいものでしょう。

スケジュール調整も代行

転職活動は通常仕事をしながら行うため、応募先企業との調整といったスケジュール管理が面倒だったりします。転職エージェントではキャリアコンサルタントがスケジュールの管理を代行してくれます。

面接日程や給料面・入社時期などの調整も可能

仕事をしていると企業との面接日程の調整がスピーディーに行えないケースも多いですが、給料や入社時期など直接交渉を転職エージェントに入ってもらい、企業との調整・交渉を進めてもらえるのは非常に助かる部分と言えます。

企業の社内雰囲気・裏情報を知れる

転職エージェントは企業の経営層や人事部と直接話をすることが多いため、社内の雰囲気やネットだけでは把握しきれない情報を知っている場合があります。職場の雰囲気や人間関係なども働く条件の中で大切なことなので、入社前にイメージを掴んでおきましょう。

履歴書や職務経歴書の使い回しが可能

転職活動で最も面倒で手間なのは、履歴書や職務経歴書を企業ごとに書かなくてはいけないことです。最近はデータさえあれば使い回せますが、全ての求人案件に対して適用されるわけではありませんから、転職エージェントであれば一度作成すれば良いので管理も楽です。

デメリット

求職者の学歴や社歴で応募企業の幅が決まる

転職エージェントは求職者を企業に採用させることが仕事なので、求職者がどう頑張っても採用に至らない企業はどんどん募集リストから省いていきます。

転職を急かされることがある

転職エージェント側からすると、できるだけ早く採用させることが転職エージェントの会社の利益に繋がることになります。転職希望者が転職を決め兼ねている場合は、早く転職してくれるように急かしてくることもあるようです。

地方に弱い

転職エージェントのデメリットの大きな要素として、地方に弱いということが挙げられます。転職サイトであれば地方でも求人情報が掲載されていますが、転職エージェントは基本的に東京、大阪、京都、名古屋、福岡、広島、神戸など、程度ある人口の多い地域でなければサービスが存在しないというのが欠点です。
 
 
 
今回はハローワークをはじめとした転職サービスについて書き記させていただきました。
ひとつのサービスにこだわらず、それぞれのサービスの特性を理解して、あなたが使いやすいように併せて利用することが大切でしょう。