福利厚生がアツいッ！？企業勤務の薬剤師ってどんな仕事？

2018.09.15

薬剤師

薬剤師といえば「調剤薬局」や「ドラッグストア」で働かれているイメージが強いですが、実は企業勤務をされている薬剤師の方も多くいらっしゃいます。
なんでも企業勤務の薬剤師は業界内でも給与水準が高く、福利厚生も充実しているとかなり人気が高いんですよ。
今回はそんな「企業勤務の薬剤師」にスポットを当ててみましょう。

企業勤務とは
こんな企業がある
収入について
メリットは土日きちんとやすめること！
福利厚生が魅力
女性の場合産休育休が取りやすい企業も

企業勤務とは

主に製薬会社などに勤めている薬剤師の方をいいます。企業勤務と言っても仕事内容は様々で以下のような業務があります。

MR（医薬情報担当者）

企業勤務の薬剤師の多くは「MR（医薬情報担当者）」と呼ばれる仕事をしています。MRとは一般企業の営業職にあたり、主に病院や薬局に新薬や従来の薬剤の情報提供を行っています。薬剤そのものを売り込むわけではなく「薬の品質・有効性・安全性に関する情報」を医療従事者に提供しています。投薬治療の際に最適な処方薬として自社の薬を医師や薬局に選んでもらうことで、自社の売り上げに繋げることができます。
MRとして働くために薬剤師の資格が必要なわけではありません。とは言っても薬剤の知識は必要ですので製薬会社では採用後にMRとして働くための専門教育を行います。

治験薬剤師

治験とは新薬開発の際、その薬剤の対象となる患者さんの臨床データを集める仕事です。（臨床実験には希望者を募ります）治験の業務では薬剤や医学といった深い専門知識が必要です。最近では、看護師や臨床検査技師、薬剤師など、医療関係の資格を持った人が経験を活かせる場として、注目を浴びています。
主に製薬会社や治験業務の代行サポートを行うCRO（開発業務受託機関）に勤務します。治験にも種類があり治験コーディネータ（CRC）や臨床開発モニター（CRA)などがあります。

治験コーディネータ（CRC）

治験コーディネータとは治験を行う際、全体のプロセスが円滑に進むよう進行をサポートを行ったりする仕事です。また治験責任医師、担当スタッフ、被験者との間でスケジュール調整といった面のサポートも担います。そのため治験コーディネータには高いコミュニケーション能力とスケージュール管理能力が求められるでしょう。

臨床開発モニター（CRA)

臨床開発モニターとは新薬開発において、臨床試験のモニタリング業務を遂行する仕事です。治験がきちんと実施しているかの調査として、新薬の副作用などの症例報告がないかと医療機関を回ったり、GCP（臨床試験を遂行する上で満たすべき基準）や薬事法に触れるようなことはないかを厳しく調査します。これらの仕事は
薬剤師など国家資格を持つ医療従事者であることが応募条件になっていることが多いでしょう。

学術部門

多くの製薬会社では、学術部門を設備しています。主に外国から輸入した薬剤の情報収集し分析したり、学術情報を翻訳して企業内部で情報共有できるように努めます。製品に対する要望や問い合わせに対応したり、MRのバックアップを行ったりします。

研究開発

製薬会社では新薬の開発や既存薬剤の改良する研究機関があり、医療現場で働いている医師や薬剤師からの要望を受け、薬剤のさらなる改良・発展のための研究が行われています。

こんな企業がある

国内外の製薬会社をご紹介します。

国内
・武田薬品工業
・アステラス製薬
・大塚HD
・第一三共
・エーザイ
・中外製薬
・大日本住友製薬
・田辺三菱製薬
・協和発酵キリン
・塩野義製薬

国外
・ファイザー（アメリカ）
・ノバルティス（スイス）
・ロッシュ（スイス）
・サノフィ（フランス）
・メルク（アメリカ）
・ジョンソン＆ジョンソン（アメリカ）
・ギリアドサイエンシズ（アメリカ）
・グラクソスミスクライン（イギリス）
・アッヴィ（アメリカ）
・アムジェン（アメリカ）

テレビCMでもよく見かける企業ばかりですね。

ちょっと雑談
ちなみに薬剤のテレビCMの最後に「ピンポン」と効果音が鳴りますよね？最近はタレントさんが口で言ったりもしますが。その後「『使用上の注意』をよく読んでお使いください」と説明されることが多いでしょう。
実はこのピンポンという音は規制なんですよ。「薬事法」では医薬品の広告について、〈虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない〉（第66条）と定めました。しかしこの法だと抽象的であるため、厚生労働省はまず、「医薬品等適正広告基準」（昭和55年厚生省薬務局長通知）という通達を出しました。〈使用及び取扱い上の注意に留意すべき旨を付記し又は付言するものとする〉と規定、さらに業界団体である日本OTC医薬品協会（84社加盟）の申し合わせで、「『使用上の注意』を……」というフレーズを〈静止した明確な文字で明瞭に1秒以上〉表示するとともに、〈視聴者の注意を喚起するような音声等も併用する〉と具体的に決めたのです。この〈音声等〉が「ピンポン」なのです。

収入について

さて、ついに気になる収入についての情報です。
薬剤師の勤務先は主に「企業（製薬会社など）」「ドラッグストア」「調剤薬局」「病院」があります。
勤務先別の各年収目安は以下の通りです。

・企業（製薬会社など）　約400〜800万円以上
・ドラッグストア　　　　約400〜700万円以上
・調剤薬局　　　　　　　約400〜650万円以上
・病院　　　　　　　　　約400〜650万円以上

企業勤務の場合でも働き始めのうちは一般病院の薬局勤務と同じく年収300万円台というケースも珍しくありません。製薬会社に転職する場合、研究職としては高い専門知識が必要ですし、そもそもの採用枠も狭いため多くの方はMR（営業職）に就かれるでしょう。一般製薬会社でも仕事の出来次第で昇給されることも十分にあり、年収約400〜800万円以上が期待できるのではないでしょうか。大手製薬会社なら実力次第で30代の内から1,000万円超えも夢ではないでしょう。

メリットは土日きちんとやすめること！

薬剤師でも勤務場所で休みが変わる！

同じ薬剤師でも勤務場所によって年間休日は変わってきます。調剤薬局は土曜日でも営業していることが多く、ドラッグストアに至っては年中無休の営業スタイルです。もちろんそこに勤務する薬剤師もその営業スケジュールで働くこととなります。その点、企業勤務の薬剤師は、他業界の一般サラリーマンと同じくカレンダー通りの土・日・祝が休日です。医師や看護師など医療業種は不定休が多いですが、製薬会社など勤務していると土日がしっかり休め、友人や家族と過ごす時間が十分確保でき、趣味に時間を割くこともできるためライフワークバランスを楽しむことができるでしょう。

福利厚生が魅力

今回の記事のメインである福利厚生についてです。
大手の製薬会社では一般的な福利厚生は充実しているので、働く上での各種手当、住宅手当などの生活支援などの心配はないでしょう。
例として、某製薬会社の待遇を見てみましょう。

社会保険

健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険

財産形成

従業員持株会、財形貯蓄、住宅融資、企業年金制度

諸手当

通勤交通費、借家補助費、時間外手当など

休日

土曜、日曜、祝日、メーデー、年末年始など（年間123日程度）

休暇

年次有給休暇、特別有給休暇、リフレッシュ休暇、産前産後休暇、育児休暇、子の看護休暇、介護休暇、フィランソロピー休職制度

社会貢献活動を支援する制度

公的機関やNGO、NPOが主催する社会貢献活動に参加するため、約１年休業することができる制度です。その間は、給料が100％支払われます。これまで、海外青年協力隊を通じて、ボランティアに従事するなどの実績があります。

独身寮

社有独身寮、あるいは１ＤＫ等の標準的なシングル向け物件を会社が借上げ、借上独身寮として貸与しています。

社宅

社有社宅、あるいは住環境・通勤事情等を考慮して適当な物件（3LDK等の標準的な家族向けタイプ）を会社が借上げ、借上社宅として貸与しています。

従業員持株会

社員の拠出金に、会社からの補助金（最大6.5％）を付加し、毎月一定日に自社株を購入する制度です。

保養所

契約保養所（全国各地）

女性の場合産休育休が取りやすい企業も

女性であれば、前述した福利厚生の一例の中にも「産前産後休暇」「育児休暇」「子の看護休暇」が記載されているように、産休はもちろん、育休なども完備されているため、安心して出産、子育てもできるでしょう。企業の中には社内に「保育所」を設けているケースもあります。地方から引っ越してきた社員からも「社内に子どもを預けられるのは非常に安心でとても助かる」と満足の声を上げている。このように社員の生活を充実させることで、仕事へのモチベーションが上がり企業への信頼が増し、お互いによりよい関係が築けるのでしょう。

日本の医療水準は世界的にもトップレベルに高く、良質な薬剤を安価で買える非常に恵まれた国です。その裏では日々、薬剤の開発・改良に勤しむ製薬会社の企業努力が伺えます。製薬会社は福利厚生が充実していて生活が安定する分、人命に関わる薬剤を扱うとても責任の大きな仕事です。ですがやはり社会における影響力も強く非常にやりがいがある仕事なのではないでしょうか？
薬剤師資格を所有している方、もしくは薬剤師の業界に興味があり転職のお考えの方は、ぜひ企業勤務を視野に入れてみてはいかがでしょうか？