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“見た目”だけじゃ生き残れない!?グラフィックデザイナーのキャリアアップorキャリアチェンジ

デザイナー

現在グラフィックデザイナーとして働いているみなさん、将来に不安を感じていませんか?

  1. そもそもグラフィックデザイナーって?
  2. キャリアアップして「アートディレクター」や「クリエイティブディレクター」を目指す
  3. 思い切ってキャリアチェンジ!なりたい自分を手に入れる。

など、現在グラフィックデザイナーとして働いている方が、これからも生き残っていく為に必要なスキル、はたまた思い切って転職をお考えの方におすすめの職業等をお知らせします!

グラフィックデザイナーとはこんな仕事

「グラフィックデザイナー」とは雑誌広告やポスター、チラシ、商品パッケージなど、印刷物のデザインを施す仕事です。写真や文字を使った「視覚的情報」により“特定の人が特定の行動をとることを促す”ことが目的です。例えばメーカーの新商品の広告だと、新開発した商品を多く売りたいという目的に「新商品が発売開始になり、このような機能が優れている」という情報を、商品写真と機能の説明などの文字情報を視認しやすく組み立てていき、消費者へ訴求していきます。

必要なスキル

グラフィックデザイナーとして働くために特定の資格取得の義務はありません。ですがグラフィックデザイナーはDTPソフトを使用しデザインを構築していくため、DTPソフト(一般的にイラストレーター・フォトショップなど)の知識や技能は必要となります。また複数の仕事を受け持つことが多いので、それぞれの納期に間に合うよう仕事を進めるスケジュール管理能力が求められますし、クライアントの要望をしっかりのヒアリングできるようなコミュニケーション能力も大事です。時には仕事が重なったり、クライアントから繰り返し修正依頼を受けたりすることもあり得るため、それに耐えうる忍耐力も大事です。また人の行動を促すにはどのような仕掛けを取ればいいかといった人間工学などの知識も蓄えておくと仕事に役立てることができるでしょう。

仕事の流れ

①クライアントとヒアリング
②写真などの素材集め(撮影ロケーションなど)
③デザイン制作(写真加工やレイアウトなど実作業)
④クライアントに校正確認(修正指示が入れば対応)
⑤クライアントより校了
⑥印刷会社に納品

グラフィックデザイナーの仕事は、まずクライアントの要望を共有するためにヒアリングを行いテーマやコンセプトといった方向性を固めていきます。ここでしっかりとした方向性を決めれなければ、後々クライアントとの意思共有がズレてしまう可能性があるので注意が必要です。
次に写真やイラストなどデザインを施す際に必要な素材を集めます。チームで仕事に取り組む場合は、写真はカメラマン、イラストはイラストレーターに分業依頼する場合もあります。
集めた写真素材を合成したり着色加工したりし、キャッチコピーなどの文字情報を加えていきレイアウトと進めていきます。デザインの前提としてクライアントとのコンセプトが含まれたデザインにしなければ意味がありません。そして仕上がった制作品をクライアントに校正の確認してもらいます。修正指示を受けた場合はクライアントの指示のもとデザインを修正します。クライアントより校了を得られたら、デザインのデータを印刷会社に納品して完了となります。

グラフィックデザイナーの将来が心配な理由

残念ながらグラフィックデザイナーは将来が不安な職業のひとつとなっています。それには以下の要因が関わっているでしょう。

広告業界の衰退

原因として景気の落ち込みにより「物が売れない」昨今、メーカーも広告宣伝費用を削減する傾向が強く、広告業界全体が低迷しています。また紙媒体の需要も縮小傾向であることも加わりグラフィックデザイナーにとって苦しい現状となっています。

長時間労働の問題

苦しい現状のためグラフィックデザイナーそのもののニーズが減少してしまい、一部のスキルが高く対応力の高いデザイナーに仕事が集中してしまい長時間労働が強いられています。またグラフィックデザイン自体の価値も普遍化してきたため、制作費の単価も年々低く見積もられるようになってしまいました。売り上げを保つため仕事の数をこなさなければいけなくなり結果労働時間が長くなる原因ともなっています。

グラフィックデザイナーの年収

気になるグラフィックデザイナーの年収は平均約300〜400万円と言われています。これは一般企業の事務職と大差なく、また所属する会社によっては残業代がつかない(固定残業代)ことも多いため、収入面を見ると「割りに合わない職業」だと感じている方も多いでしょう。

若手の台頭

グラフィックデザイナーの収入低下の要因として、若手デザイナーが優秀であることも考えられます。デザインに関する教材はいくつも書店に並び、DTPソフトの性能も年々上がり少し練習すれば、誰でもそれなりのクオリティのデザインが作れる時代になりました。つまり視覚的デザイン制作は普遍なものとなり、“デザイナーだけにできる仕事ではなくなった”ということです。プロのデザイナーが複数の仕事に追われる中、アマチュアデザイナーは時間をかけデザインを制作でき、結果プロよりアマチュアの方が見た目のインパクトがあるデザインを作れてしまうという逆転現象が起きています。それによりグラフィックデザイナーの市場価値が下がる結果となってしまいました。

何を優先して、どうなりたいか考える

前述ではグラフィックデザイナーのマイナス面を並べましたが、もちろん“やりがい”を感じられる仕事であることは確かです。

グラフィックデザイナーのやりがい

私自身も以前グラフィックデザイナーの職に就いていましたが、たとえ深夜遅くまで残業になろうとも、自分の作った制作物が世の中に出ることへの喜びを感じ仕事に取り組んでいました。微力ながらも社会に影響を与えることのできる仕事だからです。また「自分で考え、自分で作り上げる時間」が“楽しい”と思えたことは事実です。仕事に関する喜びは「給料」「労働環境」「やりがい」のバランスが重要です。これは個人の感覚値によって大きく変わります。「給料」が低く「長時間労働」になろうとも仕事に「やりがい」を感じれれば人が頑張れるものです。
とはいえ生活が安定しなければ最高のパフォーマンスを発揮することも難しくなりますし、健康を崩してまで働くことは間違っています。またいくら頑張ろうとも結果が伴わなければ自己満足で終わることも事実です。グラフィックデザイナーとして、あるいは全く別の職業としてどう進んでいけばいいのか考えてみましょう。

キャリアアップを目指す

グラフィックデザイナーとして「キャリアアップ」を考えたとき、まずは「アートディレクター」「クリエイティブディレクター」を目指すのがいいでしょう。

アートディレクターとは

アートディレクターとはグラフィックデザイナーに限らず、デザインにおけるビジュアル面の指揮をとる責任者を指します。「アート」と付いていますが自分の芸術性を表現するアーティストとは異なり、クライアントの要望を表現するためのビジュアルを考え指示することが仕事です。企画案件のコンセプトをデザイナーやコピーライター、カメララン、イラストレーターと共有しビジュアル表現をコントロールします。

必要なスキル

アートディレクターが指揮を取るプロジェクトは、完成するまでクライアントをはじめ社内の営業やデザイナー、コピーライター、カメラマンなどと連携しながら仕事を進めていきます。各担当者に的確な指示を出す必要があるため高いコミュニケーション能力が必要となります。またそれぞれの役割が円滑に進行できるようスケジュール管理も大切で、撮影のロケーションの日取り、やデザインラフをクライアントに確認してもらうまでの制作日程の確保など、日程調整における緻密な計算ができると評価の高いアートディレクターとして呼ばれることでしょう。アートディレクターは実作業を行うことはなくもあり管理に徹底するケースもあります。管理能力が高ければ会社からそれに沿ったポジションが用意されることもあるでしょう。

アートディレクターの年収

アートディレクターの平均年収は約477万円となります。
大手広告制作会社なら約800〜1,000万円に上る場合もあります。

クリエイティブディレクターとは

アートディレクターがビジュアルの監督役なら、クリエイティブディレクターは企画から制作までのすべてを指揮する責任者を指します。アートディレクター同様それぞれの担当者に指示や日程調整を行うことが仕事ですが、よりその責任は重いものとなりアートディレクターが現場監督ならクリエイティブディレクターは総監督という立ち位置となります。

必要なスキル

アートディレクター同様、コミュニケーション能力スケジュール管理能力はもちろんですが、さらに企画提案などのスキルが求められます。クリエイティブディレクターがコンセプトを立て、それを主軸にアートディレクターがビジュアルに落とし込んでいく流れで仕事を進めることが多いでしょう。クリエイティブディレクターになるには現場での経験を積み、企画提案や管理能力を高めることが重要です。

キャリアチェンジを目指す

グラフィックデザイナーから「キャリアチェンジ」を考える方に、いくつかの職業をご紹介します。

インハウスデザイナー(企業デザイナー)

インハウスデザイナーとはメーカーなどの企業で働くデザイナーを指します。制作会社のように複数の仕事を取り扱う業務とは異なり、ひとつの分野の仕事を専門的に担当することが多いでしょう。例えば酒造会社に勤務の場合、お酒のラベルデザインを制作担当を行ったりします。勤務する会社の規模にもよりますが、少数で複数のコンテンツ(Webや印刷物)を担当する場合もあるため幅広い知識とスキルが求められるでしょう。インハウスデザイナーのメリットは、企業勤務のため労働時間がコントロールしやすいことでしょう。また収入面も比較的安定しているため、制作会社などの第一線から退いたデザイナーがインハウスデザイナーに落ち着くケースは多くあります。

Webデザイナー

グラフィックデザイナーと業務内容が似ているWebデザイナーへ転職するケースもよくあります。ビジュアル的効果の知識があるグラフィックデザイナーならばWebデザインの場でも経験やスキルを活かすことは十分できます。しかしWebデザインとグラフィックデザインは似て非なる箇所も多数存在し、紙媒体が作品を作り上げるイメージならば、Webの場合はより複雑化し設計するイメージとなります。Webデザインの知識も新たにインプットしていかなければいけないため、安易に転職を考えるとミスマッチを起こす場合もあるので注意しなければいけません。

思い切って異業界へ

デザイン業界から足を洗い、別の業界へ飛び込むことも進むべき道のひとつです。デザインで培った視点や美的感覚によって異業種でイノベーションを起こすことだって十分あり得ます。例えば飲食店に転職し料理の盛り付けをデザインすることもできるかもしれません。ただし異業界へ転職する場合は転職自体のハードルがぐんと上がるので、きちんとした計画を立てて行動して失敗しないよう気をつけましょう。

例えば10年後の自分のキャリアパス描けていますか?

グラフィックデザインの現場では緊急を要する仕事ばかりが蔓延しています。短納期で安価な仕事をこなし続け、日々の忙しさに忙殺され自分の将来を考える時間がない方は要注意です。10年後もその仕事がある保証はなく、気づけば業界とともに自分を衰退してしまったという未来は防がなければいけません。
「デザイン」という言葉の認識も変わってきており「問題解決」が重要視されています。ただキレイな見た目を作るのではなく、そのデザインによって誰にどのような効果があるのかを考えてデザインしなければいけません。ビジュアルのインパクトがあるデザインならばアマチュアデザイナーも作れるようになった昨今、プロのデザイナーはどのような道を歩めばいいのかを考えてみてください。
最近では「UXデザイン(体験型デザイン)」を提案できるデザイナーが重宝されています。UXデザインのUXは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、「ユーザーが製品やサービスを通して得られる体験」のことを指します。簡単に言えば「モノ(製品)ではなくコト(体験)を売る」といったイメージです。製品やサービス(プロダクト)を利用して“楽しい”という「プラスの体験」を経験することでユーザーは満足し、繰り返しそのサービスを利用し、よいクチコミを広めるといった行動を起こします。それは波及を重ねてより大きな利益を生むこととなります。
このようにデザインの意味も変化している時代、デザインを施すデザイナーも変化していかなければならない岐路に立たされています。